自衛隊の宿舎が語る自衛官の心とは?(1)

6月3、4日、茨城県土浦市の陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地を訪ねました。この駐屯地に9年間勤務した元自衛官から集団的自衛権行使についての取材をするためです。元自衛官は井上圭一さん。現在はなんと、共産党の市議会議員。この4月に行われた土浦市の市議会議員選挙でみごと初当選を果たしました。自衛官だった人が集団的自衛権行使に反対するために共産党に入り、市議にもなったことは有名になり、私が訪ねた次の日には「東京新聞」の記者が取材に来る予定になっていました。
井上さんから取材した内容は、今年夏から秋にかけて「かもがわ出版」から刊行される単行本になる予定(書名未定)です。詳しくはそちらをお待ちいただくことにして、私(戸倉書院代表)が一番驚いたのは、この駐屯地から若い隊員が続々と退職していっている事実です。井上市議はいまも現役の隊員と交流があり、集団的自衛権行使に対する意見も多く聞いていますが、「腹の中では全員が行きたくないし、家族は心配で仕方ない」といいます。駐屯地の宿舎は幹部用と一般自衛官用に分かれており、幹部用宿舎に変化はありませんが、一般自衛官用宿舎は道路から見てもカーテンのない部屋が多く、夜は灯りのつかない部屋がどんどん増えているとか。昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定のころから、この傾向が始まったそうです。
自衛隊員の退職が続出した第一期は、80年代末から90年代初めにかけてのバブル期。民間企業の給料が上がり、公務員との格差が広がったため、「可能性」を求めての退職でした。現在は第二期。自らの命と家族の生活を思っての退職です。バブル期とは退職の意味が違います。

国会で安倍首相は「自衛隊員のリスクが高まることはない」「他国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言していますが、国会議員は、まずどこかの駐屯地の宿舎の様子を見てから審議をすべきです。声に出しては語れない彼らの心がそこにはあります。
下の写真は霞ヶ浦駐屯地の敷地をまたぐ跨線橋。この橋の手前、撮影場所の後方に宿舎があります。次回取材に行ったら、その様子を撮影してきます。

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