金木犀の香りが運ぶ秋

3、4日前、金木犀が咲いているのに気づきました。それまではたんなる常緑樹として夏の暑さに耐えながら立っていた木が、甘酸っぱい香りを放っているのにハッと気づく。季節の移り変わりを感じる瞬間です。街を歩いていてもどこからか香ってきて、辺りを見回すことがよくあります。
金木犀は前年の剪定を失敗すると咲かないし、日の当たる南側だけ咲いているということもよくあるのですが、今年は木いっぱいに花をつけています。花の房のように見えるのは、4枚の花びらを持った小さな花の集まりなのですね。花びらは厚みがあって、かんざしの頭の部分のようで可憐です。枝を切って室内で花瓶にいれると香らないのです。不思議。
img_0154img_0155

カテゴリー: 日々のつれづれ | コメントをどうぞ

「とと姉ちゃん」と編集者の真髄

今週いっぱいで終わるNHKの朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。みなさんご覧になっているでしょうか。
このドラマは現存の雑誌『暮らしの手帖』とその創立者家族をモデルにしたノンフィクションに近いストーリーで、そこに出てくる雑誌は『あなたの暮らし』。戦後直後に「女性の役に立ちたい」と主人公の小橋常子と2人の姉妹が立ち上げました。高度成長期になり家電が各家庭に普及するようになると消費者が粗悪品を買わされることが多くなったことから、商品の調査実験をして結果を実名で公表し、100万部を超える売り上げとなったというお話です。

職業がら、この編集部の様子には興味を持って毎日見ています。今日と大きく違う点は、編集者の仕事は原稿整理や原稿執筆で、印刷所に入稿するまでがメイン。印刷所が出してくるゲラを校正して、戻すという流れです。いまは編集者の多くは、それらの仕事に加えて、「インデザイン」などの編集ソフトで組み版もしています。大手出版社では昔ながらに編集者は原稿を見るのが仕事で、組み版は印刷所がするところもまだ残っているのですが、中小零細出版社の編集者は企画、原稿整理から組み版、校正、装幀のことを考えたりまで、大変忙しいのが実態です。かくいう私(戸倉書院代表)もそうしたスタイルで仕事をしています。

「昔は牧歌的だったな」と思って見ている一方で、現在の編集者は編集者ではなくなり、印刷所のオペレーターの仕事が大半になっている現実をも思います。著者とじっくり話したり、あちこち取材に行って企画を立てたり、原稿のよしあしを推敲したりといった、本来編集者がやるべき仕事がおろそかになっているのではないかという恐れがいつも私のなかにあるからです。そのへんの原点に立ち返らせてくれるのがこの番組でもあるのかな、というのが私の感想。
1,2日前に、『あなたの暮らし』の編集長で名編集者といわれた花山伊佐次(唐沢寿明)の台詞に「私は死ぬまで編集者でいたい。原稿を書き、写真を撮り、校正のペンで赤く指を汚している、編集者でありたい」というものがありました。高齢になり心臓を悪くして仕事が続けられなくなりつつある花山の心の叫びでした。
編集者という仕事をしていると、よく「編集者ってどんな仕事ですか?」と聞かれることがあります。花山氏のこの台詞がその内容を端的に表しているのかな、と聞いていて思いました。

カテゴリー: 日々のつれづれ | コメントをどうぞ

豪栄道の涙に涙

大相撲九月場所14日目の今日、大関豪栄道が初優勝を決めました。14日目の今日時点で全勝。明日の千秋楽に全勝優勝をかけています。
豪栄道といえば、稀勢の里、琴奨菊と並んで3人の日本人大関の一角を占めますが、同時にこの2人と並んで優勝できない大関でした。ところが琴奨菊が2016年1月場所で怒濤の相撲で初優勝。「自分も負けてはいられない」と奮起した豪栄道の今場所の頑張りは本当に素晴らしいものでした。これまでしばしば見せていた土俵での「引き」が今場所は出ずに積極的な相撲に終始。13日目の横綱日馬富士戦では圧勝して横綱をして「豪栄道は強い」といわしめました。体の肌つやもよく、眼光も鋭く、大変な気迫を国技館に醸し出しているのが伝わってきます。土俵を圧倒しているといっていいでしょう。
一方で、白鵬の休場が気になります。ここ数場所、白鵬は「横綱相撲ではない」という批判をあびてきました。正攻法でない取り口がそういわせているのですが、大記録を打ち立て続けている大横綱に対して冷たいのではないかと思います。このブログでも前に書いた「相撲ナショナリズム」が背景にあるのではないか、というのは考えすぎでしょうか。今場所も結果として成績が振るわなかった稀勢の里の肩にその重圧が乗っているのは確かで、あまり期待がかかってこなかった琴奨菊と豪栄道が優勝をつかんだのも、そうした過度の日本人力士への期待と、外国人力士の活躍への評価の低さと無縁ではない気がします。

今日の優勝インタビューで、豪栄道は美しい涙をいく筋も流しました。「これまでうまくいかなかったことも多かったので」とその理由をのべていましたが、苦労の道中を思うともらい泣きしてしまいました。
節制と努力、謙虚さと感謝。高い倫理性を求められる「国技」としての相撲道。「これはスポーツではない。興業だ」という意見もあります。純粋にスポーツになり切れない、興業としての、国技としての相撲は、外から見ていたらわからない巨大な金と人と利権となにやかやが渦巻く難しい世界なのでしょう。そのなかで、20代の若者である日本人青年や外国人青年が厳しい稽古と本場所を乗り切るだけでも偉いと思います。本当は「ポケモンGO」をして過ごしたいこともあるでしょうに。古い因習や圧力に負けないで、のびのびと相撲に打ち込んでほしいと願います。14日目の感想でした。

 

カテゴリー: 日々のつれづれ | コメントをどうぞ

彼岸花はやはり彼岸に咲く

「ああ、少し涼しくなったな」と思って路傍に目をやると、葉のない茎がすっくと伸びて、彼岸花が開花の準備をしています。けっこう開花しているものもありますね。その潔さに見入ってしまって、こちらの背筋も伸びるような気がします。
彼岸花ってやはりお彼岸に咲くのですね。今年は猛暑だった上に雨が多く、さまざまな植物が痛手を受けているようにみえるなかで、色も形も華やか。

img_0144

カテゴリー: 日々のつれづれ | コメントをどうぞ

『「LGBT」差別禁止の法制度って何だろう?』出版記念イベント開催

弊社編集の『「LGBT」差別禁止の法制度って何だろう?』(かもがわ出版刊、2016年)出版記念のトークセッションが19日、お茶の水女子大学で行われました。本書の編者であるLGBT法連合会と、お茶の水女子大学ジェンダー研究所の共催。学生、市民、LGBT当事者、自治体関係者など150人ほどが参加しました。

はじめに本の内容について時間を取って説明があり、その後世田谷区、多摩市、文京区でこの問題を担当する課長がそれぞれの自治体での施策を報告。岩手県宮古市の元市長熊坂義裕さんがミニ講演をしました。熊坂さんは宮古市でおこなっている電話相談の結果からLGBT当事者のおかれている状況を詳しく分析しました。
それぞれの報告から、法整備ができていない現在においても、自治体、地域でギリギリの努力をしてLGBT当事者のおかれている人権状況の改善、自死防止、居場所づくりなどの取り組みがなされている様子を詳しく知ることができました。地方議会での質問で取り上げる準備をしている議員などから、本の内容を超えた詳しい報告に勉強になったという感想が参加者から聞かれました。

書影

 

カテゴリー: 出版後あれこれ | コメントをどうぞ

『ふたつの憲法を生きる』出版記念会

弊社で編集・製作した牧柾名著『ふたつの憲法を生きる』(花伝社刊、2016年2月)の出版記念会「みっつめはいらない」が、9月9日東京ガーデンパレス(御茶の水)で行われ、教育学関係者や著者の親しい友人など60名が集い、この本の魅力について語り合いました。
堀尾輝久東京大学名誉教授(元日本教育学会会長)が、「憲法9条は『おしつけ』だったのか」と題して講演(写真左上)。堀尾氏が長く研究してきた教育基本法と日本国憲法の成立過程のなかで、最近資料を発見して注目されている「幣原喜重郎首相(当時)の発案で憲法9条は日本国憲法に盛り込まれた」という事実について、研究の動機や発見の意義、これからの運動への希望について熱く語りました。堀尾氏は「この会の名称『みっつめはいらない』の通り、憲法の改悪を阻止すること」、「『ふたつの憲法を生きる』という名のこの本は、牧氏と同時代を生きた私の生きた歴史とも重なる」として、本書の意義と自身の研究の意義を重ねて強調し、参加者に共感を広げました。

記念会では著者の牧柾名氏(元東京大学教授、教育行政学)とともに研究してきた思い出や、本書の感想が口々から語られ、著者の牧氏も笑顔で応えていたのが印象的でした。

写真右上は、牧氏の東京大学大学院でのゼミ生であった世取山洋介新潟大学准教授(教育法学)と、同大学生によるスピーチ。若い新鮮な感性で本書の魅力を縦横に語りました。

img_0120img_8574

 

写真下は感謝の言葉をのべる牧氏。

img_0129

カテゴリー: 出版後あれこれ | コメントをどうぞ

『arome〈香り〉-プロヴァンス・ラベンダーの里をたずねて』を刊行

『arome〈香り〉-プロヴァンス・ラベンダーの里をたずねて』(発売元:本の泉社)を刊行いたしました。著者は興津秀憲さん。国分寺市でアロマオイルの輸入販売の会社「フレーバーライフ」を経営されていて、東京都議会議員(第18期、民進党)をされた方です。

アロマオイルの原料であるラベンダーの買い付けや生育状況の調査のために、著者はたびたびフランスを訪問されています。同社の15周年記念事業として、クライアントさんなど約30名でフランスのプロヴァンス地方を中心とする旅を企画。現地での出来事や食べ物、ワイン、風景、習慣の違いなどを紹介する楽しい読み物となりました。

本書は、興津さんが自社のホームページ内の「社長ブログ」で連載していたツアー日記「頓珍漢西遊記」を改稿したもので、同社の創立20周年記念として刊行されました。弊社にとっても、地元・国分寺市の会社様の本を、それも20周年というおめでたい節目に出させていただいたことは、たいへん光栄です。
今回の本づくりで工夫したことは、判型。ほぼ正方形に近い形にして、横書きの本文の左右に余裕をもたせました。巻頭8ページのカラー口絵を含めて100枚以上の写真が美しく映えるように、大きめに写真を配置することができる判型です。表紙の裏に貼る「見返し」の紙は、赤と青の2色を前後に配置。本文の白と合わせてフランス国旗のトリコロールをイメージしました。ぜひお手にとってご覧下さい。

【目次から】
ほんとに行くの!?
あれっ? 荷物が出てこない 手荷物ロスト?!!
ランチだぞ~! IN アルル
プロヴァンスの観光ポイント「セナンク修道院」
エクサンプロヴァンス(南仏の軽井沢?)
ワクワクドキドキ ムーランルージュ
謎の呪文「バケットトラディション・トロア・シルブープレ」

A5変形判・並製 256ページ、定価1500円+税
お求めは書店、ネット書店、本の泉社HPから。
arome.jpg

カテゴリー: 一般書 | コメントをどうぞ